ん?
あーあー、テステス。
おれのかっこいい姿が見えてるか?
見えてるよな?
あ、答えなくていいぞ。
どーせこっちには見えねぇし。
それにしても…ひひひ。
今おれを見てるってことは、地面に落ちてたのを拾ったってことだよな。
ばっかでー。
ママに落ちてる物を拾ってはいけませんって教えられなかったのかよ。
大方、これ読んでるおまえは人間だろ?
…ま、そんなことはどうでもいいや。
おれが言いたいのはただ一つだけだし。
ごほん。
すーっ…
おっまえっの母ちゃんっでーべーすぉぼほぅっ!?

ばこっごきっぼきっ

ご、ごめんなさいっ!
い、今のはぜんぶぜ〜んぶデルちゃんが勝手に…
あとでしっっっかり言い聞かせるので、どうか許してください。
それでえっと…はじめまして、ですよね?
わたしは光の妖精、リンです。
この森には、わたしたち妖精や精霊が住んでいます。
あと、ま――
魔女もいるな。
ちょ、ちょっと。
せりふ横取りしないでよっ!
そんなもん、言ったもん勝ちだろ。
そんなこと言ってたらめちゃくちゃに――
あーはいはい、わかったわかった。
ぜっったいわかってないでしょ!
だいたい闇ちゃんはいつも――
あーはいはい。
うるさいやつはほっといて、説明な。
この森には森羅の魔女とかいうネクラと、おれみたいな超かっこかわいい妖精と、
かっこかわいい…かっこ、かわいい…(かわいい)?
…ぷっ。
くすくすくすくすくす。
…おれのとなりにいるような、うるさくて笑いどころのよくわからないやつもいるけど…
あと、臆病な精霊がいる。
あいつら力だけは強いんだけどな。
魔女は森の中をよく飛んでるけど、時々家に籠って水晶玉覗いたりなんか書いてたりする。
家にいったら読ませてくれるかもしれないぜ。
妖精は広場に集まって話をしてることが多いな。
そーだ、ついでにいいこと教えてやるよ。
フィアードライブっていうゲームがあるんだけどな、これのエンディングは――
だめーっ!
もがもが(せりふは最後まで言わせろよ)
絶っ対っだめっ!
もうっ。
ここからはやっぱりわたしがやるんだから。
それでね…えっと、どこまで説明したんだっけ。
む、むぐぐ、むぐぅ(い、息、息ができねぇ)
もう、うるさい、ん、だ、か…らっ!

ぐいっ
ぐきっ…ぱさり


うーんと…あ、そうそう。
広場に集まった妖精の中でも、デルちゃんは今みたいに秘密をばらしちゃうかもしれないから注意してね。
それで精霊さんたちはね、森にきれいな回廊を作ってくれてるよ。
お世話になった人のところにすぐ行けるようになってるんだって。
えっと、それから――
はっ。
おれはいったい…あ。

おいっ、リンっ!
お前、おれを殺す気か!?
おおげさだよ。
妖精なんだからそんなに簡単に死ぬことはないでしょ。
そういう問題じゃねぇし、今のは確実に危なかっただろうが…

ん?
ああ、説明まだ終わってなかったな。
もう早めに終わらせちまうか。
え、全然早くなんかなかった?
こまけぇこと気にすんなって。
で、大事なことはだな。
おれ以外はどいつもこいつも変なやつらだが、全員に共通点がある。

この森を荒らすやつはぜったい許さないこと だよね。

…一番大事なせりふを…しかも赤文字の…
森に入るんならこれだけは守らないと 後悔するぜ?
…いくら最後取られたからってむきになって取りかえさなくてもいいのに。
闇ちゃんもかわいいところがあるんだね。
…うっせ。



1.…とりあえず、妖精が強暴だということは理解した

2.森を荒らさなければいいということは了解した




あ、そーそー。
言い忘れてたけど、この注意書きの裏にこの森の簡単な案内図を書いておいてやったぞ。
感謝 するかーっ!

ぼかっぐしゃっどかっ

もう、相変わらずこういうことだけは行動がはやいんだから。
…リンは相変わらず手が早いけどなぁぐほっ。

ばしっげしっ

こんなところに案内書いちゃったら中を見て楽しめなくなっちゃうじゃないの…
折角、がんばって… ぶつぶつ
ぃつつ…
いや、これは親切だぞ?
この森、無駄に広いから迷子になるかもしれないし…
デルちゃんにそんなに気が回る訳ないでしょっ!
えー。
うるさいっ!

びしっべしっ

…なあ、さっきから所々隠してるけどさ。
正直意味無くね?
隠しきれてねぇもん。
もうばれてるって、お前のその凶暴さ――

ばきっぶすっべきっがすっびきっごりっどすっがきっ…どさり

な、なんのことかなぁ。
も、もう本当にデルちゃんは。
じゃあ説明はこれで終了です。
楽しんでいってね。

ずるずるずる…



1.…妖精が強暴だということしかわからなかった

2.折角だから、裏を見てみよう

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